先進医療とは?

先進医療とは、新しい医療技術の出現・患者ニーズの多様化等に対応するために、健康保険の診療で認められている一般の医療の水準を超えた最新の先進技術として、厚生労働大臣から承認された医療行為のことを言います。

 

国立がん研究センター中央病院の「網膜芽細胞腫の遺伝子診断」は、先進医療に認定されています。(2016年4月に保険適用となりました。)

網膜芽細胞腫の先進医療

①網膜芽細胞腫の遺伝子診断

 

②網膜芽細胞腫の患者又は遺伝性網膜芽細胞腫の患者の血族に係るもの

 

③従来の染色体検査に加えて、以下の検査を実施する。

1)発端者診断
 網膜芽細胞腫を発症した患者であって、原則としてその家系で最初に当該遺伝子診断を実施する外来を受診した者を、「発端者」と呼ぶ。
発端者から約20ml採血し、血中の白血球からDNAとRNAを抽出する。
これらを用いて、
(ア)RB1遺伝子の全蛋白質コード領域およびプロモーター領域内の塩基配列解析
(イ)RT-PCR産物の塩基配列解析
を行い、網膜芽細胞腫の原因と考えられる遺伝子変異を同定し、遺伝性網膜芽細胞腫であるか否かを診断する。

2)保因者診断
 1)の検査により、発端者のRB1遺伝子における変異が同定されていることが前提となる。
未発症であるが発端者と家系を同じくする者(血縁者)から採血し、RB1遺伝子の塩基配列を解析する。
血縁者のRB1遺伝子に当該発端者と同じ変異が認められた場合、当該血縁者は遺伝性網膜芽細胞腫の保因者であると診断される。
保因者に対しては、眼底検査等を頻回に実施し、早期発見に努める。

 

④先進医療に係る費用について
 先進医療は、一般医療と比べると高度な技術・診療効果があると認められた医療ですが、技術料が非常に高く、さらに健康保険の適用対象外のため、その治療費用は全額自己負担となります。
ただし、通常の治療と共通する部分(診察・検査・投薬・入院料等)については保険適用となります。先進医療にかかる技術料は、先進医療の種類や病院によって異なります。

(例)総医療費が100万円、うち先進医療に係る費用が20万円だったケース
先進医療に係る費用20万円は、全額を患者が負担します。
通常の治療と共通する部分(診察、検査、投薬、入院料)は、保険として給付されます。
 保険給付分=80万円(10割)の内 7割にあたる56万円が各健康保険制度から給付
3割にあたる24万円が患者の一部負担金
なお、保険給付に係る一部負担については、高額療養費制度が適用されます。

 

⑤先進医療を受けるとき
 先進医療を受ける場合であっても、病院にかかる時の手続きは一般の保険診療の場合と同じで、被保険者証を窓口に提出します。
先進医療は、一般的な保険診療を受けるなかで、患者が希望し、医師がその必要性と合理性を認めた場合に行われることになります。
先進医療を受ける時は、治療内容や必要な費用などについて、医療機関より説明を受けます。
説明内容について十分に納得したうえで、同意書に署名し、治療を受けることとなります。
先進医療を受けると、先進医療に係る費用、通常の治療と共通する部分についての一部負担金、食事の標準負担額などを支払いますが、それぞれの金額を記載した領収書が発行されます。
この領収書は税金の医療費控除を受ける場合に必要となりますので、大切に保管してください。


*ポイント*
発端者が遺伝子診断で遺伝性網膜芽細胞腫と診断された場合のみ、血縁者の保因者診断に進むことができます。
先進医療にかかる実際の診療費は、発端者診断150,900円、保因者診断48,000円となり全額自己負担です。
保険給付分の自己負担分は、小児慢性特定疾患治療研究事業や子ども医療費が適用されます。
遺伝子診断に関心がある場合は、国立がん研究センター中央病院の遺伝相談外来等を受診し、医師とよく相談して、何のために検査するのか、よく理解した上で、遺伝子診断を受けることをおすすめします。