障害者総合支援法について

障害者総合支援法は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律です。
障害者総合支援法による総合的な支援は、「自立支援給付」と「地域生活支援事業」で構成されています。

「自立支援給付」は、介護給付・訓練等給付、地域相談支援給付、計画相談支援給付、自立支援医療、補装具、などに分かれています。

「地域生活支援事業」は、区市町村の責任で行われる地域密着型のサービスと、都道府県が行う専門性の高い事業や広域的な事業に分かれています。

 

障害者総合支援法について、私たち「すくすく」がわかる範囲でまとめましたので、 ≪参考≫にして下さい。
医療制度の申請手続き、給付内容は実施主体 (都道府県、指定都市及び中核市、区市町村)によって異なりますので、 ≪居住地の自治体の担当窓口に必ず相談≫して下さい。
                              (2020年6月更新)

≪障害福祉サービス≫

障害福祉サービスは、障害者総合支援法に基づいて障害者や難病患者を対象に行われる支援の総称です。

支援の種類は日常生活の介護支援を行う「介護給付」と自立生活や就労を目指す人を支援する「訓練等給付」の2つに大別されます。

 

①介護給付
1)居宅介護(ホームヘルプ)
 自宅での入浴や排泄、食事の介護などを行います。
2)重度訪問介護
 重度の肢体不自由者または重度の知的障害者もしくは精神障害により、行動上著しい困難を有する人で常に介護が必要な方に、入浴、排せつ、食事などの介護、外出時の移動支援などを総合的に行います。
 3)同行援護 

 視覚障害により、移動に著しい困難を有する方に、移動に必要な情報の提供(代筆・代読を含む)、移動の援護等の外出支援を行います。

4)行動援護

 事故判断能力が宣言されている方が行動するときに、危険を回避するために必要菜支援や外出支援を行います。

5)重度障害者包括支援

 介護の必要性がとても高い人に、居宅介護等複数のサービスを包括的に行います。
6)短期入所(ショートステイ) 
 自宅で介護する方が病気などの場合に、短期間、夜間も含め施設で、入浴、排泄、食事の介護等を行います。

7)療養介護
 医療と常時介護を必要とする方に、医療機関で機能訓練、療養上の管理、看護、介護及び日常生活の支援を行います。
8)生活介護
 常に介護を必要とする人に、昼間、入浴、排せつ、食事の介護等を行うとともに、創作的活動又は生産活動の機会を提供します。
9)障害者支援施設での夜間ケア等(施設入所支援)
 施設に入所する人に、夜間や休日、入浴、排せつ、食事の介護等を行います。

 

②訓練等給付
1)自立訓練

 自立した日常生活又は社会生活ができるよう、一定期間、身体機能又は生活能力の向上のために必要な訓練を行います。機能訓練と生活訓練があります。
2)就労移行支援
 一般企業等への就労を希望する人に、一定期間、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行います。
3)就労継続支援(A型=雇用型、B型=非雇用型)
 一般企業等での就労が困難な人に、働く場を提供するとともに、知識及び能力の向上のために必要な訓練を行います。
雇用契約を結ぶA型と、雇用契約を結ばないB型があります。
4)共同生活援助(グループホーム)
 共同生活を行う住居で、相談や日常生活上の援助を行います。また、入浴、排せつ、食事の介護等の必要性が認定されている方には介護サービスも提供します。
 さらに、グループホームを退居し、一般住宅等への移行を目指す人のためにサテライト型住居があります。

 

③障害福祉サービスの支給を受けるためには障害支援区分の認定が必要です。
 障害支援区分とは、障害の多様な特性や心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合いを表す6段階の区分(区分1~6:区分6の方が必要とされる支援の度合いが高い)です。

 必要とされる支援の度合いに応じて適切なサービスが利用できるように導入されています。

 

④申請方法
1)相談・申し込み
 サービス利用を希望するかたは、区市町村または相談支援事業者に相談してください。
 相談支援事業者は、サービス申請前の相談や手続きの支援などを行います。

2)利用申請
 利用したいサービスが決まったら、お住まいの区市町村にサービス利用の申請を行います。

 障害児の場合は保護者が手続きをします。

 相談支援事業者に申請の代行を依頼することもできます。

3)サービス等利用計画案の提出依頼

 区市町村は、障害福祉サービス等の申請を行う障害者又は障害児の保護者に対して、サービス等利用計画案の提出依頼を行います。

4)障害支援区分認定調査
 心身の状況を総合的に判定するため、認定調査員による訪問調査を行います。
調査の内容と種類は次の3つです。

 概況調査…本人・家族・介護者の状況、日中活動の状況、居住関連などに関する調査
 障害支援区分認定調査…障害者の心身の状況を把握するための80項目の調査(アセスメント)
 特記事項…障害支援区分認定調査で把握しきれない本人の状況についての調査

5)一次判定(コンピュータ判定)
 80項目の認定調査結果と医師意見書の一部項目をもとに、コンピュータによる障害支援区分の一次判定が行われます。

6)二次判定(審査会による判定) 
 障害保健福祉施策に詳しい様々な分野の委員で構成された区市町村審査会によって、二次判定が行われます。一次判定結果、特記事項、医師意見書(一次判定で評価した項目を除く)をもとに障害支援区分を判定します。

7)障害支援区分の認定
 区市町村は、区市町村審査会での総合的な判定を踏まえて障害支援区分の認定を行い、申請者に通知します。

8)サービス利用意向等の勘案事項の聴き取り、審査

 区市町村は、支給決定に当たって、サービス利用意向の聴き取りを行い、概況調査の結果等と併せて、支給決定のための勘案事項として整理します。

9)サービス等利用計画案の提出

 区市町村からサービス等利用計画案の提出を求められた人は、指定特定相談支援事業者が作成したサービス等利用計画案を提出します。

10)支給決定案の作成

 区市町村は、障害支援区分やサービス利用意向聴取の結果、サービス等利用計画案等を踏まえ、支給決定案を作成します。

11)審査会の意見聴取

 区市町村審査会は、支給決定案を作成した理由等の妥当性を審査し、支給決定案等について審査会の意見を区市町村に報告します。

12)支給決定

 区市町村は、勘案事項、審査会の意見、サービス等利用計画案等の内容を踏まえ、支給決定を行います。

 サービスの支給量等が決定されると、受給者証が交付されます。

13)サービス等利用計画の作成

 支給決定が行われた後に、指定特定相談支援事業者は、サービス担当者会議を開催してサービス事業者等との連絡調整を行い、サービス等利用計画を作成します。

14)サービスの利用開始

サービスを利用する事業者と利用に関する契約を行い、サービス利用開始となります。

 

⑤申請に必要な書類(自治体によっては他にも必要書類がある場合があります。)

・身体障害者手帳、療育手帳又は精神障害者保健福祉手帳、難病患者については診断書

・介護給付費等支給申請書(および計画相談支援給付費・障害児相談支援給付費支給申請書)

・市民税額調査の同意書又は市民税額の証明書

・印鑑

 

⑥利用者負担
 ひと月ごとの利用者負担には上限があります。
 障害福祉サービスの定率負担は、所得に応じて次の4区分の負担上限月額が設定され、ひと月に利用したサービス量にかかわらず、それ以上の負担は生じません。

障害者の区分  世帯の収入状況                  負担上限月額

生活保護     生活保護受給世帯               0円(負担はありません)

低所得      区市町村民税非課税世帯            0円(負担はありません)

一般1       区市町村民税課税世帯

      (障害者の場合)所得割16万円未満         9,300円
      (障害児の場合)所得割28万円未満  

        通所支援、ホームヘルプ利用の場合    4,600円
        入所施設利用の場合           9,300円

一般2    上記以外                    37,200円

 

⑦申請手続きは、居住地の区市町村の担当窓口へ相談して下さい。
 地域生活支援事業(移動支援・地域活動支援センター・福祉ホーム)は、必要に応じて相談して下さい。


*ポイント*
区市町村が障害程度区分の認定をし、事業者(民間)がサービスをすることになります。
利用者がどのようなサービスを必要としているか理解してもらい、あきらめず、ねばり強く交渉しましょう。